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【まとめ】2023年 日本劇場公開の映画(3月編)

 この記事は2023年3月に日本の劇場で公開された映画作品をかる~く紹介していく記事です。(私が観た作品だけ)

 「2023年って、どんな映画があったっけ?」と新たな映画に出会いたい方や振り返りたい方、「あの映画、気になってるけど実際どんな感じなの?」と鑑賞の判断をつけたい方向けの記事になっています。本当に軽く紹介するだけなので、軽く流し読みする程度で読んでください。ネタバレは絶対にしません。ご安心ください。

 

 各作品ごとに以下の項目を挙げて簡単に紹介していきます✍

  • 公開日(日本の劇場で公開された日)
  • ジャンル
  • 監督
  • キャスト
  • 概要
  • あらすじ
  • 感想

 加えて、各作品ごとに以下の観点を⭐の数で評価していきます。

  • 脚本・ストーリー
  • 演出・映像
  • 登場人物・演技
  • 設定・世界観

 ⭐は最大で5つです。

 

 それでは、早速いきましょう💨

なのに、千輝くんが甘すぎる。

(C)2023「なのに、千輝くんが甘すぎる。」製作委員会 (C)亜南くじら/講談社

公 開 日  :3月3日

ジャンル:青春

監 督 :新城毅彦

キャスト:高橋恭平、畑芽育、板垣李光人、莉子 他

 

概要

 漫画家・亜南くじらさんが講談社「月刊デザート」で連載している同名漫画の実写化。コミックス1巻が発売後、異例のスピードで重版がかかり、2023年時点の既刊8巻で260万部を突破している。次から次へと登場する女子憧れの胸キュンなシチュエーションが話題となり、実写映画で何度も登場して女子のハートを鷲掴みする。

 主人公・千輝彗を演じるのは「なにわ男子」の高橋恭平さん。ヒロイン・真綾には、子役の頃から演技を磨き、等身大の可愛らしさで真綾をキュートに、時にコミカルに演じきった畑芽育さん。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 人生初の告白に見事に玉砕した高校2年生の失恋女子・真綾。親友の小原知花に慰められるも、落ち込んでいるところを陸上部のエースで学校一のイケメン男子・千輝くんに見られてしまう。モテモテなのに周囲には塩対応な千輝くんが、なぜか真綾に提案したのは、なんと”片想いごっこ”。片想いごっこの条件は、絶対に好きにならないことと、まわりにバレないこと。好きになってはいけない約束なのに、自分にだけ優しくて甘すぎる千輝くんに、真綾の気持ちは次第に揺れ動いていく。果たして、千輝と真綾の片想いごっこは、どのような結末を辿るのか…。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 高橋恭平さん演じる男子が「片想いごっこって、これをやればいいんだろ?」と主人公に接近してくるアクションの数々は攻めっ気と優しさの両方を兼備しており、観る者をキュンキュンさせる。ただ、唐突に発動するためシュールであり、「そうくるんかい!」とツッコミを入れて笑ってしまうところもある。

 「片想いごっこ」が物語にとって良い下地。単なる遊びに優しさを感じ、続けていくうちに甘さや辛さが生まれ、主人公に葛藤を生じさせる等、物語を展開させる大きな役割となっている。ある意味、ワン・シチュエーションとも捉えられる設定一本で主人公の心情や人間関係を操作できたのはアイディア賞ものである。とはいえ、オチに到達すると、果たして劇中の出来事は「片想いごっこ」だったのか疑問に残る。もはや、「片想いごっこ」というより、結果論だが「片想い戦略」になってるような気がする。意中の人がいる方は、本作を観て千輝くんを見習ってはどうでしょうか?まあ、おそらく嫌われますがな(笑)

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計12個

 

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

公 開 日  :3月3日

ジャンル:SF

監 督 :ダニエル・クワンダニエル・シャイナート

キャスト:ミショル・ヨー、ステファニー・スー、キー・ホイ・クァンジェームズ・ホンジェイミー・リー・カーティス

 

概要

 数々のオリジナリティあふれる魅惑的な作品を世に送り出し、映画ファンの絶大なる信頼を獲得してきた人気スタジオA24が、家族問題と赤字コインランドリーの経営に頭を抱えるフツーのおばさんが、マルチバース(多元宇宙)を用いて闘うヒーローに目覚めて世界を救うという、全人類が初めて体験するアクション・エンターテインメントを完成。

 前代未聞の快進撃が始まったのは、オープニング上映を飾り大絶賛を浴びた、20223月のサウス・バイ・サウスウエスト映画祭。続くニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコでの限定公開では、3日間の興行収入で509,659ドルを弾き出し、1館あたりの平均が50,966ドルという驚異的なスクリーン・アベレージを記録。勢いはとどまるこなく全米拡大公開へと爆進し、2,200館規模での上映という事態へ発展、ついに北米興行収入7千万ドル、全世界興行収入1億ドルを突破。インディペンデント・スタジオとしては、異例中の異例のメジャー・スタジオ級大ヒットを達成した。

 さらには興行収入だけでなく、多くの映画賞レースにて受賞ラッシュを繰り広げる。第88回ゴールデングローブ賞では主演女優賞と助演男優賞を受賞。。第95回アカデミー賞においては、作品賞を含む最多7部門(作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞助演女優賞脚本賞編集賞)での受賞を獲得。その他の映画賞を合わせると、2023年3月13日時点で308受賞542ノミネートを記録している。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 経営するコインランドリーの税金問題、父親の介護に反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫と、盛だくさんのトラブルを抱えたエヴリン。そんな中、夫に乗り移った”別の宇宙の夫”から、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と世界の命運を託される。まさかと驚くエヴリンだが、悪の手先に襲われマルチバースにジャンプ!カンフーの達人である”別の宇宙のエヴリン”の力を闘いに挑んでいく。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 ジャンルが具沢山。しかも、味が濃い目で特盛。キレッキレのカンフー・アクションあり。多元宇宙を行き来するトリッキーな映像体験あり。アダルト版『クレヨンしんちゃん』的な下ネタあり。清々しいまでの名作映画のパロディあり。現在でも続く、移民や同性愛などの問題を取り上げた社会風刺あり。温かく優しい人間の愛あり。ありとあらゆる具材を混ぜ込んだカオスなSFアクション&ドラマである。アクションはエンタメ要素とコメディ要素がバリバリだし、下ネタはR18に踏み込みそうな領域。そんな構成ながらもアカデミー賞で作品賞を獲得し、『ノマドランド』や『コーダ あいのうた』と名を連ねたのは相当な異端児。

 ジャンルもテーマもマシマシの濃い目ゆえに強烈なインパクトを喰らわせる映像体験の連続であると同時に、情報が洪水のように流れ込んで整理と困惑が相まって、鑑賞中のカロリー消費が激しい。だが、後半になればなるほどテーマはシャープにシンプルに落ち着く。無数に存在する多元宇宙の自分たちが「あの時、あの道を選んでおけば良かったな…」という、誰もが一度は想像して後悔したであろう"もしもの自分"を表しており、例え華やかになったはずの道があっても今の自分を肯定して目の前に存在する人たちと一緒に生きていくシンプルな人生論に収束している。

 ミシェル・ヨーを初めとする主要キャスト陣の演技が目覚ましい。キレッキレかつユーモアが詰まったアクション。笑いと涙ありの掛け合い。それら全てを多元宇宙に存在する別次元の自分と何度も切り替えながら、物語を牽引するのは軽妙な職人芸である。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計17個

 

フェイブルマンズ

(C)2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

公 開 日  :3月3日

ジャンル:伝記、ドラマ

監 督 :スティーブン・スピルバーグ

キャスト:ガブリエル・ラベル、ミシェル・ウィリアムズポール・ダノセス・ローゲン、ジャド・ハーシュ、ジュリア・バターズ、ジョン・フォード

 

概要

 50年にわたるキャリアの中で、『ジョーズ』から『E.T.』、『ジュラシック・パーク』まで、史上最も愛され、変幻自在な数々の作品を世界に送り出してきたスティーブン・スピルバーグが、”映画監督”になる夢を叶えた自身の原体験を描いた作品。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になったサミー・フェイブルマン少年は、8ミリカメラを手に家族の休暇や旅行の記録係となり、妹や友人たちが出演する作品を制作していく。そんなサミーを芸術家の母・ミッティは応援するが、科学者である父・バートは不真面目な趣味だと考えていた。そんな中、一家は西部へと引っ越し、そこでの様々な出来事がサミーの未来を変えていく。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 スティーブン・スピルバーグ自身の体験を基に生み出された、映画に魅入った少年とその家族の物語。 2022年または2023年から如実に作られるようになったジャンルこと「映画を語る映画」の中で群を抜いて素晴らしい。本作は他の作品と違い、映画に対して賛辞を贈るものではなく、映画が生み出すマイナス面へダイレクトに向き合ったリアリティの高い作品となっている。見たくないものがフィルムに刻まれる恐怖。見せ方次第で人々の感情や動向を左右させる功罪。映画の魅力は魔力にも変換される代償が常にあることを我々に伝えてくれる。

 ミシェル・ウィリアムズが演じた母親とポール・ダノ演じた父親が興味深い。母親は音楽家であり、アーティスト気質で感情的である。父親は天才的なエンジニアであり、実用性を重んじる理論派である。スピルバーグ自身の創造性と緻密な映画づくりは両親から遺伝されたものだと伺える。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計20個

 

ブラックライト

(C)2021 BL Productions LLC; Allplay Legend Corporation

公 開 日  :3月3日

ジャンル:サスペンス、アクション

監 督 :マーク・ウィリアムズ

キャスト:リーアム・ニーソン、エミー・レイバー=ランプマン、テイラー・ジョン・スミス、エイダン・クイン

 

概要

 主演リーアム・ニーソン。監督マーク・ウィリアムズ。2020年に公開された『ファイナル・プラン』のタッグが再び結成。戦闘コーディネーターに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『スーサイド・スクワッド』を手掛けたリチャード・ノートン&ガイ・ノリスのチーム。スタントコーディネーターは『96時間』や『フライト・ゲーム』など過去16本の作品で15年以上もリーアム・ニーソンのスタント担当をしてきたマーク・ヴァンスロウ。撮影監督は『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のシェリー・ジョンソン。名だたる精鋭たちが集結して生み出したサスペンス・アクションとなった。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 FBI長官直々に雇われているトラヴィス・ブロックは通称”フィクサー”と呼ばれ、極秘任務で潜入捜査をしている秘密捜査官に危険が迫った際、救出し更生させるという陰の任務を担っていた。

 ある日、トラヴィスは救出した潜入捜査官ダスティから、FBIが一般人の殺しに関与している話を聞かされる。にわかに信じられなかったが、トラヴィスは調査に乗り出す。同時期にダスティは正義感が強い女性記者・ミラと接触。ミラもトラヴィスと同様に真実を探り出す。そして、2人は陰謀に巻き込まれていくことになる。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 何気ない街並みや生活感あふれる日常の画から得体の知れない陰謀へと接続していくギャップが良い味を染み込ませる。(予算の都合でロケーションを準備できなかった可能性もあるけど、結果オーライ。)

 アクション俳優リーアム・ニーソンが主演だけあって、アクション・シーンは目を見張る。カーチェイスでは年齢不相応にドリフトをキュインキュインさせ、銃撃戦では年齢相応に落ち着きある硬派な身のこなしを見せてくれる。

 雰囲気とアクション以外は可もなく不可もなくといったところ。

 話を引っ張るわりには、オチに意外性ナシ。人によっては、すぐ読めそう。 主人公の仕事が潜入地のFBI捜査官を救出するという役割も機能してない。物語を進めるだけの役割であり、その職業ゆえに活かされる点が全くない。これなら、主人公自身もFBIに所属する人間にした方がよかった。むしろ、その方がストーリー的に主人公が国家を守る為に陰謀劇へ身を投じる説得力が立場的に上昇する。

 FBI捜査官を救出する仕事が過酷で主人公が精神的にやられて職業病を訴えているが、この設定も全く活かされない。しかも、克服して成長する描写もなく、設定を忘れたかのように消滅する。

 あと、娘と孫娘とのドラマもなかなか腐っている。

 やはり、主人公をFBIに所属する正義感の強い人間にして、職業病が家族に影響しながらも正義を貫き、人を救って家族の理解を得る物語に仕上げた方が良かった気がする。だって、一緒に戦う女性記者は自身の熱意ありまくりな正義が最終的には正しいルートだったから、2人揃って正義を貫くことに違和感はない。

 なんだか、脚本志望者が初めて書いたような物語だったな(笑)

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計12個

 

丘の上の本屋さん

(C)2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI

公 開 日  :3月3日

ジャンル:ドラマ

監 督 :クラウディオ・ロッシ・マッシミ

キャスト:レモ・ジローネ、コッラード・フォルトゥーナ、ディディー・ローレンツ・チュンブ 他

 

概要

 イタリア・ユニセフ共同製作作品。年齢や国籍の違いを超え、”本”を通して老人と少年が交流するハートウォーミングな物語。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。店主リベロは、ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛け、好奇心旺盛なエシエンを気に入ってコミックから長編大作まで次々と店の本を貸し与えていく。リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾けるエシエン。感想を語り合ううちに、いつしか2人は友情で結ばれていく。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 古書店の店主と古書店に訪れる人々の交流を描いたユーモラスでハートフルなドラマ。

 本は多くの役割を持ち合わせている。他人と交流を続けるツールだったり、自身の人生を拡張させたり、人間や世界とは何かを伝える教材になったり。古書店の店主と古書店に訪れる人々の交流から、本の役割や実用性を改めて知ることが出来る教育的な映画である。登場人物たちのやり取りがユーモアに溢れており、本の役割を伝えていく際に説教臭さがない。クスクス笑いながら本の役割を知る居心地よい教育体験となっている。とはいえ、本作は全体的にインパクトが極小であり、人によっては84分の短尺が長く感じるかもしれない。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計14個

 

Winny

(C)2023映画「Winny」製作委員会

公 開 日  :3月10日

ジャンル:伝記、ドラマ

監 督 :松本優作

キャスト:東出昌大三浦貴大皆川猿時渡辺いっけい吹越満吉岡秀隆

 

概要

 天才的ソフトウェア開発者・金子勇さんが作り上げた「Winny」と呼ばれるファイル共有ソフトに関する実在の事件と裁判を描いた作品。

 「Winny」とは、インターネット上で繋がった複数のパソコンでファイルを共有するソフト。当時はあまり利用されていなかったP2P技術を発展させ、画期的なネットワーク構造や送受信効率を高める多くの機能を備えていた大容量データの送受信を可能にした。だが、その性能の高さから、映画・ゲーム・音楽などの著作物データが許可なく流通し、著作権侵害と指摘され問題となった。また、その特性を悪用した情報漏洩系ウイルスも流行。感染すると意図しないデータが流出してしまい、警察・自衛隊・民間企業の資料や個人所有のファイルなどがインターネット上に漏洩。日本は混迷を極めた。そして、「Winny」を悪用した者たちを著作権侵害の容疑で逮捕。さらには、金子さんも逮捕され、開発者自身が罪に問われる異例の事態となった。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 2002年、開発者・金子勇は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発し、試用版を掲示板サイト「2ちゃんねる」に公開する。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする者たちが続出。次第に社会問題へ発展していく。次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、金子逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張し、国家権力と戦っていくが…。

 金子と壇が奮闘する一方、警察官の仙波は、警察署内で裏金が蔓延していることを知る。若手の警察官までもが上司に言われるまま存在しない領収書で裏金を作り、組織の腐敗を危惧していた。「このままでは、いかん…」と思った仙波は、警察の未来のために一世一代の行動に打って出る。

 なぜ、1人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか。日本の警察は何処へ向かってしまうのか。権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語の紐が解かれる。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 エンタメとして成立させながらも、創造と権力が生み出した教訓とも言える社会派映画。善意の発明は悪事で駆け巡る。メディアからの情報を第一印象で片付けない。国家権力の正義は自由の弾圧や未来の根絶と化す場合もある。 一連の事象に関して、誰かを悪者に仕立て上げて解決するのではなく、人の世の構造として受け止める。人間の問題だけど、人間の問題に見えて、社会的構造の常であることを示した教訓的な映画。

 裁判シーンでは、本物の弁護士による模擬裁判を実施するといった徹底的な監修を行い、他の映画の裁判シーンには見えない本物感が見て取れる。

 東出昌大さんの演技が良い。『聖の青春』でプロ棋士の羽生さんを演じた時もだったが、顔を手で触る挙動から天性を感じさせる。自分の頭の中に詰まった語彙を流暢に喋る語り方が金子さん本人とそっくり。一度空を見上げると夢中になる好奇心やアイディアが閃いたらパソコンを叩かずにはいられない衝動性は真の天才像を体現していた。

 吹越満さんも良い。無罪判決を幾度と勝ち取った弁護士として、裁判の尋問シーンでは説得力ある出番があった。また、明らかに誰よりも年上なのに全ての人へ敬語を使ったり、喫煙の際には断りを入れたりと、人間そのものを熟知している凄みを静かに感じた。

 吉岡秀隆さん演じた警察官は、「警察官全員が国家権力を濫用している」とならないための役回りであり、今作を警察批判の映画とならないように施されている。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計19個

 

オットーという男

©2023 Columbia TriStar Marketing Group, Inc. All Rights Reserved.

公 開 日  :3月10日

ジャンル:ドラマ

監 督 :マーク・フォースター

キャスト:トム・ハンクスマリアナ・トレビーニョ、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、レイチェル・ケラー、トルーマン・ハンクス 他

 

概要

 原作はスウェーデンのベストセラー小説『幸せなひとりぼっち』。2015年に本国のスウェーデンにて原作と同名タイトルで映画化されており、アカデミー賞にて外国語映画賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた。この作品を魅せられたトム・ハンクスがプロデューサーに名を連ね、ハリウッドでリメイク。トム・ハンクス自身が主演を務め、繊細な演技に誰もが揺さぶられる。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 オットー・アンダーソンは町内イチの嫌われ者で、いつもご機嫌斜め。曲がったことが大っ嫌いで、近所を毎日パトロール。ゴミの出し方、駐車の仕方、ルールを守らない人には説教三昧、挨拶をされても仏頂面、野良猫には八つ当たり、なんとも面倒で近寄りがたい存在だった。そんな彼だが、最愛の妻に先立たれ、人知れず孤独を抱えていた。さらには仕事をなくし、自らの人生にピリオドを打とうと自殺を図るが、向井の家に引っ越してきた家族にタイミング悪く邪魔をされる。引っ越してきた家族の奥さんであるマリソルは世間知らずで、陽気で人懐っこく、超お節介でオットーとは真逆な性格だった。マリソルとその一家と関わっていくうちに、生きることを諦めようとしていたオットーの人生は変化していく。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 最愛の妻を亡くした、堅物で不機嫌なオジサンを巡るヒューマン・ドラマ。 幸せの源は家族だけでなく、家族の枠外で関わった者との繋がりでも十分に生み出せる。大切な存在が消滅して独りとなっても人生に幸せが彩ることを示した、心温まる作品。

 トム・ハンクスの演技が素晴らしい。厳しさは優しさの裏返しであることを体現していた。また、不機嫌に言葉足らずの優しさを見せるギャップ萌えが堪らない。妻との回想シーンに登場する若きオットーの演者はトルーマンだが、トムが回想を思い浮かべるだけで妻への愛と失った悲しみを体現するのは流石。

 今作は家族を失った後の生き方として、1つのロードマップとなっている。今後厳しくなる恋愛&結婚至上主義で生きてきてしまった人や生涯未婚で生きる思想が浸透している今日において、改めて、独りの生き方を提示する役割としてリメイクする価値は十分にあったと思う。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計15個

 

REVOLUTION+1

(C)REVOLUTION+1 Film partners

公 開 日  :3月11日

ジャンル:伝記、ドラマ

監 督 :足立正生

キャスト:タモト清嵐、岩崎聡子、紫木風太、前迫莉亜 他

 

概要

 

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 川上達也は、1人、ずっと暗闇の中で生きてきた。記憶のある明るい時間は、父が生きていた時代。普通よりは裕福な家庭。父の会社経営が順調。優しい母・頼もしい兄と可愛い妹に囲まれて、何不自由のない生活を送っていた。しかし、仕事と人間関係に浸かれた父の自殺から全てが一変する。兄が癌の後遺症で片目を失明し、自暴自棄。妹は貧しくなった生活に戸惑い、反抗的に。達也自身は、目指していた大学進学の道を断念する。そして、母は、すがる思いで統一教会に入信してしまう。父の消滅が全ての歯車を狂わし、やがては安倍晋三元首相の銃撃事件へと導かれていく…。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也氏をモデルに描いた問題作。

 父の自殺から始まった負の連鎖反応が行き着いた先に安倍元首相を銃撃する決意が形取られる。誰かを変えてしまうことは、その誰かにある周囲の人間もろとも変えてしまうこと。世の中、この連鎖反応からは抜け出すことは容易ではない。山上徹也氏をモデルにした主人公自身が受けた負の連鎖と主人公自身が巻き起こした連鎖から、どうリアクションを取ればよいか国民へ示している。(誰かを殺害することではない。)

 水を使って、主人公が暗闇の中を生きてきた描写を強調する手法が良い。自殺できる薬品を水で喉に流す。自衛隊の訓練で水を掛けられる。極めつけは、劇中、どこからでも雨が降ってくること。主人公が暗闇を歩いてきたことを示し、「いつか、自分も光り輝く星になりたい」と願う言葉に説得力が宿る。 

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計14個

 

わたしの幸せな結婚

(C)2023映画「わたしの幸せな結婚」製作委員会

公 開 日  :3月17日

ジャンル:ファンタジー、ラブ・ロマンス

監 督 :塚原あゆ子

キャスト:目黒蓮今田美桜渡邊圭祐前田旺志郎、高石あかり、山本未來、高橋勉、山口紗弥加津田健次郎、土屋太鳳、火野正平石橋蓮司

 

概要

 2019年に小説とコミックが刊行されるやいなや、瞬く間にシリーズ累計発行部数が700万部を突破し、2022年の春にはテレビアニメ化も発表された『わたしの幸せな結婚』の実写映画化。主演は「Snow Man」の日黒蓮さんと今田美桜さん。監督を務めるのは、TBS『アンナチュラル』・『MIU404』・『最愛』を手掛けた塚原あゆ子さん。脚本は『陽だまりの彼女』や『浅田家!』を手掛けた菅野友恵さん。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 舞台は文明開化もめざましい架空の近代日本。特殊な能力「異能」を受け継ぐ家系の者たちが代々、国を治める帝と共に、様々な災いから人々を守り続けてきた。帝都に屋敷を構える異能家系の長女・斎森美世は、能力を持たずに生まれたことで、継母と異母妹から虐げられて生きてきた。すべてを諦め、耐え忍んで生きる彼女に命じられたのは、若くして異能部隊を率いる冷酷無慈悲な軍人・久堂清霞との政略結婚だった。清霞は美世に冷たい態度を取るが、一緒に過ごすうちに悪評通りの人物でないことに美世は気づき始める。清霞もまた、美世の心遣いに触れ、いつしか2人は互いに心を通わせるようになる。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 小説および漫画の実写化として、実写版『るろうに剣心』並みに二次元的な衣装およびCGが三次元世界に馴染んでおり、硬派な恋愛ファンタジーとなっている。ロケ地や装飾も近代日本を忠実に表現し、世界観が果てまで広がっている。そんな近代日本の空気感に特殊能力のCGが完全に溶け込んでおり、世界観の形成は申し分ナシ。しかも、逐一ショットが綺麗で美しい。近代日本の部分には趣があり、特殊能力の描写には重厚感がある。

 物語が少し掴みづらい。家系や特殊能力の説明をサラリと行うため、印象に残らない点が多々ある。気を抜くと置いていかれる。また、目黒蓮さん演じるキャラクターに「冷酷無比で、今まで数々の婚約者が逃げ出した」という悪評が設定されているが、根拠が薄い。劇中の範囲では、ただのツンデレにしか見えない。婚約者が逃げ出したというエピソードは省いた方が正確なキャラ付けになったと思われる。物語全体としては、終盤に近づくほど駆け足になっていく。だが、俳優陣と美しいショットが作品を彩っている。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計14個

 

シャザム!~神々の怒り~

(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

公 開 日  :3月17日

ジャンル:アメコミ

監 督 :デビッド・F・サンドバーグ

キャスト:ザカリー・リーバイ、アッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・クレイザー、アダム・ブロディ、レイチェル・ゼグラー、ルーシー・リューヘレン・ミレン

 

概要

 特になし。

 

あらすじ

 古代の魔術師から神々のパワーを授けられ、魔法の言葉「シャザム!」と唱えると”見た目はオトナ、本当はコドモ”のスーパーヒーローに変身する少年ビリー。パワーを存分に使ってヒーロー活動を行って人々へ奉仕していたが、そのパワーを求めて神々の娘たちが地球に襲来。神々の娘たちはビリーがパワーを使うことに諸事情で怒りを感じており、ビリーへ勝負を仕掛けてくる。神々の力を持つビリーと神々の娘たちが地球を舞台に激突する。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 スーパーパワーを持つ少年少女が神々から因縁をつけられてバトルを繰り広げるヒーロー映画。

 前作より戦場が広大化。街全体が戦場となり、スケールアップ。建物・道路・車両に次々と傷跡を残しまくる様は大迫力。さらには、前作より敵の強さが視認できる。高層ビル等を容赦なく破壊し続けるので、劇中建物の被害額は前作と桁違いで跳ね上がっただろう(笑)

 ストーリーは前作と変わらず表面的。なんか設定が出てきて、なんか大変なこと起こって、なんか適当に良さげな解決策が出るという流れは相変わらず。ビリーの成長物語や家族物語のような雰囲気を纏っているけど、それを深める要素はなく、あったとしても薄い。まあ、ノリと勢いで観る作品と言われれば、それまでだが…。とはいえ、コメディの部分は相変わらず面白い。見た目がオトナ中身がコドモであることやヒーローネームが決まっていないことのネタの切れ味は流石。

 ストーリーの都合上、ビリーとフレディ以外のキャラの出番は減少した。ユージーンほぼ空気。だが、ペドロは口数を増やしたことで前作より存在感が増した。

 コドモとオトナの入れ替え大喜利は鳴りを潜めた。

 アンテアの時空を歪める魔術がDr.ストレンジ及びDr.フェイトと被って食傷気味。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計13個

 

零落

(C)2023 浅野いにお小学館/「零落」製作委員会

公 開 日  :3月17日

ジャンル:ドラマ

監 督 :竹中直人

キャスト:斎藤工趣里MEGUMI山下リオ吉沢悠玉城ティナ安達祐実

 

概要

 青春漫画の金字塔『ソラニン』を描いたカリスマ漫画家・浅野いにおさんの新境地にして衝撃の問題作となった同名漫画の実写映画化。監督は俳優としても活躍し、本作で10本目の監督作となる竹中直人さん。主演は斎藤工さんが務める。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 8年間の連載が終了した漫画家・深澤薫は、自堕落で鬱屈した空虚な毎日を過ごしていた。SNSには読者からの辛辣な酷評が書かれ、売れ線狙いの考え方を持つ担当編集者と意見の食い違いで揉め、アシスタントからは身に覚えのないパワハラを指摘される。さらには、多忙な漫画編集者の妻とも擦れ違いが生じて離婚の危機に陥っていた。世知辛い世間の煩わしさから逃げるように漂流する深澤は、ある日、昔の恋人を彷彿させる”猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆと出会う。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 斎藤工さん演じる主人公を自分事のように共感するか、嫌なヤツとして客観的に見るかは観る者によって分かれる。おそらく、創作活動または創作活動に近いものを経験した者は、本作の主人公を自分または別の世界線に居たかもしれない自分に置き換え、自分を写した映画になるはず。そうでない者は、完全なる第三者の目線で主人公を単に嫌なヤツと見て、どうなっていくのかを見届ける純粋な劇映画となる。

 漫画家は孤独である。広く言えばアーティストや夢を追う者は孤独である。やりたいことに没頭して自分の感性を磨き続ける者は、周囲から異質な存在と見なされて遠ざけられる。本作にて主人公の同級生が主人公に対して「あいつは漫画の話しかしない」と壁を作ったり、主人公の元恋人が主人公に対して「あなたの感性についていけない」と距離を感じたりするのは、やりたいことに熱中できる者とやりたいことが何も無い者(失礼な言い方だけど敢えて)には感性を磨く体験に圧倒的な差があるからである。それ故、感性が磨かれる者と磨かれない者に分断され、大勢が磨かれない者(失礼な言い方だけど敢えて)に当てはまって皆で輪を作り、少数の磨かれる者には周囲に理解者を作れず孤独となる。さらに本作では漫画を引き合いに出し、真の理解者の可能性が高い読者さえも理解者としては遠い存在であることを示し、漫画家・アーティスト・夢を追う者の孤独をより強く押し出している。感性を磨いて漫画家などを続けることは孤独かもしれないが、その孤独を緩和して良い環境で良いコンテンツを生み出すには、消費する側である我々自身も感性を磨いて寄り添うことが必要であることを感じた。

 主演が斎藤工さんなのは良き配役。感性を磨き続ける者は同年代に比べて見た目が常に若い。自分と同年代の芸能人が若く見えたり、自分の生活圏内で精力的に何かしらの活動を続ける方々も若く見えたりする。科学的根拠は分からないけど、とにかく若い。それ故、本作にて主人公を斎藤工さんというカッコいい40代に抜擢し、主人公の同級生たちを明らかに齋藤さんより年上の方々(間違っていたら御免なさい)を揃えて対比を表現している。

 本作を2020年代に実写映画として公開したのは意義が大きい。なぜなら、近年ではコンテンツの消費者が単純明快なものを好む傾向が増大し、その構造を単純に考えれば感性を磨く体験の質が落ちてきているからである。難解なものを悪と見なす消費者もいるし、制作サイドが消費者のニーズを満足させるだけのコンテンツばかりを作ることで作家性が失われつつある。2021年からのMCU作品がまさに当てはまる。(特にスパイダーマンNWH。)消費者の感性が落ちれば、その分、制作サイドが商業として成り立たせるにあたって感性を落としたコンテンツを提供するしかなくなる。そうなっていけば、コンテンツの質を向上させることが段々と難しくなっていき、衰退を招く可能性がある。それを防止するために消費者サイドである我々が感性を磨いていくべきだと思った。ここまでくると、コンテンツを消費した後に「生理的な好き嫌いで感想を言う」・「自分が設定した期待値にどれくらい応えたかを測る」・「難解なコンテンツ=ダメなコンテンツor理解しようとする努力を捨てて放置」等で片付けてる場合ではないと考える。少なくとも、私自身は映画の感想を書くにあたって、もう少しだけでも勉強しようと胸に決めた。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計19個

 

コンペティション

(C)2021 Mediaproduccion S.L.U, Prom TV S.A.U.

公 開 日  :3月17日

ジャンル:コメディ

監 督 :ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーン

キャスト:ペネロペ・クルスアントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス 他

 

概要

 誰もが憧れる華やかな映画業界の裏側で本当に繰り広げられているかもしれない、天才監督と人気俳優2人の三つ巴の戦いを描き、現代映画界を爽やかに皮肉った業界風刺エンターテインメント。

 個性的でわがままな天才監督を演じるのは、アカデミー賞助演女優賞を獲得したペネロペ・クルス。うぬぼれた人気俳優を演じるのは、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したアントニオ・バンデラス。老練の人気俳優を演じるのは、ベネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したオスカル・マルティネス。監督を務めるのは『ル・コルビュジエの家』や『笑う故郷』などで、スタイリッシュな映像とシニカルなユーモアで構築された独自の世界観を誇る映像作家ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーン

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 とある大富豪の起業家は自身のイメージアップのため、一流の映画監督と俳優を起用した、伝説に残る映画を作ろうと思い立つ。その考えのもと、変わり者だがあらゆる映画賞を総ナメする天才女性監督のローラ、人気と実力を兼ね備えた世界的大スターのフェリックス、老練な一流舞台俳優のイバンが集結し、ベストセラー小説の映画化に挑む。しかし、エゴが強すぎる3人は全く気が合わず、リハーサルは予想外の展開を迎えることに…。果たして、映画祭のコンペティションを勝ち抜けるような傑作は完成するのか!?

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 脚本。世界観。登場人物。それら全てに製作物としてホントのようなウソを用いて、観る者にウソのようなホントを思わせる。意志を貫かんとする監督と俳優2人の小競り合いを通し、今まで自分が観てきた映画の裏側にも、こんなタブーがあったかも…。そんな懐疑心を9割の笑いと1割の衝撃…いや、ラスト数十分で10割近くに染める衝撃を与えて植え付ける。製作現場を生で見れない我々にとって、笑うも驚くも疑心暗鬼になるも観る人次第。映画製作の裏側を皮肉たっぷりなブラック・ユーモアで描いた笑劇にして衝撃な作品。

 ペネロペ・クルスアントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネスのアンサンブルが見事。劇伴のない静かな空間を長回しで映し、ワンカットで各々のエゴを発して小競り合いを繰り返す光景に笑える。ファースト・インパクトから奇人ぶりを見せ、創作のコントロールに苦悩する監督役のペネロペ。傲慢で小賢しいアントニオ。品位と俗人が入り混じるベテラン俳優役のオスカル。各々が属性の違う厄介さを見せつけ、噛み合わない会話劇で笑いと皮肉を届けている。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計16個

 

長ぐつをはいたネコと9つの命

(C)2022 DREAMWORKS ANIMATION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

公 開 日  :3月17日

ジャンル:アニメ

監 督 :ジョエル・クロフォード

キャスト:アントニオ・バンデラスサルマ・ハエック、フローレンス・ピュー、ハービー・ギレン、サムソン・ケイオ、ワグネル・モウラ、ジョン・ムレイニー、オリビア・コールマン、レイ・ウィンストン

 

概要

 ドリーム・ワークスの大人気アニメ『シュレック』シリーズに登場した「長ぐつをはいたネコ」ことプスを主人公としたスピンオフ作品の第2弾。2011年の1作目から10年の時を経て、更なるパワーアップを加えてカムバックする。

 本作は第95回アカデミー賞にて長編アニメ賞にノミネートされた。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 愛くるしいモフモフな毛皮、ワイルドでダンディで心、剣術の達人である、長ぐつをはいたネコことプス。剣を片手に数々の冒険をしてレジェンドを残していた。でも、気付いたら、9つあった命はラスト1つになっていた。最後の命と分かった途端、急に怖くなり、レジェンドの看板を下ろして家ネコになることにした。だが、どんな願い事も叶う「願い星」の存在を聞いて再奮起。「命のストックを増やす」という願い事を立て、旅に出る。しかし、「願い星」を狙うのはプスだけではなかった。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 開幕からアクセル全開。キャラたちが上下左右・奥行きを縦横無尽に駆け巡り、道具と設置物をフル活用するスピーディなアクションは軽妙。映像の色彩がカラフルかつクリアな色合いであり、活気ある映像体験を得る事が出来る。

 旅の供であるワンコが良い味を出してる。ペットのようで可愛さを売りに出来る見た目だが、人生2周目を迎えたような悟り(本人は、そう思ってない)を発し、人生や他人を今一度大切にしようと気を引き締めさせる。

 ゴルディとベアー親子からは、当たり前に改めて感謝する心意気が見られる。

 サイコパスな悪役であるジャックが良い立ち回り。現実世界では確実に許されない横暴の数々には残酷ながらもアニメ的には通用する軽妙さがある。同時に、命を粗末にする点は主人公のプスと同じ出発点だが、それを止めなかったことによる報いが対比として描かれる。

 もう1つの敵対者として登場するウルフも良い役割。命を終わらせる者としてプスを引き立たせ、「いつか誰もが死ぬから、それまで大切に生きよう」と気を引き締めてくれる。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計17個

 

The Son 息子

(C)THE SON FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.

公 開 日  :3月17日

ジャンル:ドラマ

監 督 :フロリアン・ゼレール

キャスト:ヒュー・ジャックマンローラ・ダーン、バネッサ・カービー、ゼン・マクラグラス 他

 

概要

 初監督作『ファーザー』で斬新な表現スタイルが絶賛され、アカデミー賞脚色賞を受賞したフロリアン・ゼレールの第2回監督作。原作はゼレール自身が手掛けた戯曲であり、『ファーザー』に続く家族3部作の第2部にあたる。完成した脚本に惚れ込んだヒュー・ジャックマンが、自ら名乗り出て主演と製作総指揮を務め、さらに『ファーザー』で2度目のアカデミー賞に輝いたアンソニー・ホプキンス、『マリッジ・ストーリー』で同賞を獲得したローラ・ダーンなど、ハリウッドのトップスターたちが集結した。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 高名な政治家にも頼りにされる優秀な弁護士のピーターは、再婚した妻のベスと生まれたばかりの子供と充実した日々を生きていた。ある日、前妻のケイトから同居している17歳の息子ニコラスの様子がおかしいと相談を持ち掛けられる。ニコラス自身からも「父さんと一緒に暮らしたい」と申し出があり、ピーターはニコラスを引き取って新たな生活を迎えることに。順調に面倒を見てるつもりだったが、ニコラスは計り知れない闇を抱えていた。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 心を抉り取られる重々しい作品。(特に、お父さんが観ると。)ポスターで笑い合ってるヒュー・ジャックマンとゼン・マクグラスに騙されないで。

 親は子供を理解してるつもりで案外、理解していない。こうであろうという思い込み。こうあって欲しいという願望の押し付け。これが理想の父親像という勘違い。実際に起きている親から子への一方通行な親心を、父役であるヒュー・ジャックマンの視点から徹頭徹尾で描き切り、さらには息子役であるゼン・マクグラスの心の闇を徹底的に具体化せず、子心の理解に努めない一方的な親を中心に描いて家族問題を浮き彫りにしている。劇中、息子が抱える悩みを聞かず、持論を語ったりアドバイスを提示したりする父の姿を見て、親子に必要なのは対話だと気付かせてくれる教訓的な秀作。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計17個

 

死体の人

(C)2022オフィスクレッシェンド

公 開 日  :3月17日

ジャンル:コメディ、ドラマ

監 督 :草刈勲

キャスト:奥野瑛太唐田えりか、楽駆、烏丸せつこ、きたろう 他

 

概要

 オフィスクレッシャンド主催の「まだ存在しない映画の予告編」を審査するコンテストで最優秀賞を受賞した作品の実写映画化。主演を奥野瑛太さんが務め、ヒロインを唐田えりかさんが務める。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 役者を志していたものの、気が付くと死体役ばかりを演じるようになっていた吉田広志。気がつけば後輩の役者からも成績を抜かされていた。だが、それでもリアリティある死体を演じるという強い探求心とこだわりを持って演技に挑むが、効率を重視する撮影現場で吉田の意見が通ることは一切なく、役者生活に苦悩を抱えていた。そんなある日、デリヘル嬢の加奈と出会い、吉田の人生は徐々に変わり始めていく。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 死体役の仕事は死を演じること。デリヘル嬢の仕事はセックスをすることであり、セックスは命を作る行為である。死の行為と生の行為を業務内で完結し続けてきた者たちが本物の生死と向き合うことに接続されていく設定の妙があるが、物語の展開には上手く活かされず。主人公が「死体役ばかりを演じる売れない役者」という設定は斬新であり、主人公を演じた奥野瑛太さんが未だに見たことない職人気質を見せてくれるが、ドラマの面では昔から繰り返されている人間模様の枠内に収まっている。ドラマに新しさがなく、主人公の斬新な設定で引きつけた後は頗る相性が悪い。また、唐田えりかさん演じるデリヘル嬢に心境変化のグラデーションがなく、急に物事を決意するため、表面的な人物像にしか映らない。

 とはいえ、主演の奥野さんと唐田さんの演技は申し分がない。奥野さんからは、死体役にリアリティを注ぎ込む姿勢から俳優業への熱意を感じ取られる分、売れずに燻っている現況に観てる我々が寄り添える人物となっている。また、死体の役づくりに励む姿はコミカルで笑いもある。唐田さんは表面的な人物像になってしまって内面が見えてこないが、表立った感情を伝える姿や奥野さんとのコミカルな掛け合いは、唐田さんの技量を観るという目的なら楽しめる。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計13個

 

赦し

(C)2022 December Production Committee. All rights reserved

公 開 日  :3月18日

ジャンル:ドラマ

監 督 :アンシュル・チョウハン

キャスト:尚玄MEGUMI、松浦りょう、藤森慎吾、生津徹、成海花音、真矢ミキ 他

 

概要

 未成年が引き起こした殺人、すなわち少年犯罪を題材としたヒューマン・ドラマ。娘を殺害された被害者遺族の元夫婦と服役中の加害者の3人を主軸とし、最初の裁判で加害者へ懲役20年の刑が下された後に事件の事実認定の正当性をめぐる再審公判が決定したことで新たに生まれた3人それぞれの葛藤を描いた作品。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 7年前に娘をクラスメートに殺害されて以来、現実逃避を重ねてきた樋口克のもとに、裁判所からの通知が届く。それは娘を殺害して懲役20年の刑に服している加害者・福田夏奈の再審を行うといった内容だった。ひとり娘の命を奪った福田を憎み続けている克は、元妻の澄子とともに法廷に赴く。福田に下りた判決の覆しを阻止するために克は証言台に立つ。だが澄子は、つらい過去に見切りをつけたい思いが強く、元夫婦の感情は擦れ違っていく。やがて法廷では福田の口から彼女が殺人に至った動機が明かされていく…。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 当事者たちの構図が良い。元夫婦のうち、夫は再審で何が起きても厳罰を受けて欲しいと願い、妻は一刻も早く事件そのものを断ち切りたくて何をすればよいか分からない、と分離。そして、加害者は罪を反省して社会復帰を願っている。実際に作品内の事件や再審が起きた場合に当事者たちが抱くであろう葛藤を網羅している。夫と妻、被害者と加害者の関係性にて各々の思いが平行線であり、対立する意見と向き合って落とし所を決めていく構図が出来ている。そして、再審および再審にて加害者がようやく殺害動機を語ったことで、当事者たちの新たな思いが紡がれ、作品のタイトルにある「赦し」にちゃんと着地している。シリアスで暗闇を歩くような物語だが、最後には光を照らしており、社会問題の提示だけに終わらない姿勢は素晴らしい。

 だが、本作は脚本と設定が目に余るほど、おかし過ぎる。違和感が多いし、その違和感をスタッフの誰もが注意しなかったのが不思議に思えるレベル。それにより本作は、2023公開作品の中でもワーストに位置する。

 1回目の裁判にて、どのような経過を辿ったのか中身を教えてくれない。観客が知る事ができる情報は、「加害者に懲役20年の刑が下ったこと」の一点のみ。それ以外は何も情報を与えられない。それどころか、「加害者の刑罰を決めただけで1回目の裁判を閉廷しちゃったの?」と疑うぐらい中身がない。ちゃんとした裁判を行なったのか疑問が募る。加えて、事件当時の回想もない。それにより、元夫婦が「当時の事件と裁判は苦しかったなあ。辛かったなあ」みたいな語りをするけど、1回目の裁判の中身や事件当時の経過が分からない以上、全く感情が伝わらない。なので、形式的に夫婦の葛藤を眺めるだけになっている。ここまでくると、観客への情報提供不足というより、脚本の練り込み不足である。

 1回目の裁判にて、加害者が殺害動機を語らなかったのが謎。それだと、1回目の裁判において、弁護士たちは何を争点にしていたのか?裁判官は何を根拠に懲役20年を決めたのか?次々と疑問が浮かぶ。『三度目の殺人』であったけど、加害者側の弁護士は怨恨の線で殺害動機を固めて量刑を減らそうという戦略は取らなかったのか?被害者遺族も加害者も弁護士も裁判官も1回目の裁判で何をしていたのかサッパリである。まさか、「1人の未成年が理由もなくクラスメイトを殺害した」だけで判決を決めたの?だとしたら、懲役20年は妥当なの?そのような疑問ばかりが浮かびまくるため、1回目の裁判から殺害動機を語っていた方が芯が通ったはず。そうすれば、前述にもある夫婦の葛藤にも重みが乗った。あと、殺害動機を踏まえた上で、夫の厳罰を望む姿勢や妻の何をすればよいな分からない姿勢は変えなくとも、物語は矛盾なく繋がるはずだと思う。

 裁判に戦略がほぼ皆無。感情論のぶつけ合いと誘導尋問の連打しかない。いくら登場人物の葛藤を感情的に描写するとはいえ、やり過ぎである。しかも、議論のすり替えが多い。Abema TVの討論かと思った(笑)事実認定の正当性を審議するための再審なのだから、事実を出してくれ(笑)結局、加害者が殺害動機を語ったことぐらいしか事実の提示はなかった。同年公開の『Winny』では弁護士から監修を受けて裁判を忠実に再現し、戦略と事実の提示が飛び交った以上、格段に見劣りがある。

 未成年の殺人事件や裁判にて当事者たちが葛藤を抱えてしまうという社会問題を描いた作品ということで問題作。脚本と設定があまりにも、おかし過ぎるという点においても問題作。2つの意味で問題作であり、圧倒的に後者の方が印象に強く残り、悪い意味での問題作となった。2023年のワースト作品。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐

星の総数    :計8個

 

ロストケア

(C)2023「ロストケア」製作委員会

公 開 日  :3月24日

ジャンル:ドラマ

監 督 :前田哲

キャスト:松山ケンイチ長澤まさみ鈴鹿央士、柄本明藤田弓子

 

概要

 松山ケンイチ×長澤まさみ、初共演の2人が入魂の演技で激突する、社会派エンターテインメント。

 日本では、65歳以上の高齢者が人口の3割近くを占め、介護を巡る事件は後を絶たない。この問題に鋭く切り込んだ葉真中顕の第16回目ミステリー文学大賞新人受賞作を、『こんなに夜更けにバナナかよ』・『そして、バトンは渡された』の前田哲監督が映画化。

 介護士でありながら、42人を殺めた殺人犯・斯波宗典役に松山ケンイチさん。その彼を裁こうとする検事・大友秀美役に長澤まさみさん。社会に絶望し、自らの信念に従って犯行を重ねる斯波と、法の名のもとに斯波を追い詰める大友の、互いの正義をかけた緊迫のバトルが繰り広げられる。現代社会に、家族のあり方と尊厳の意味を問いかける、衝撃の感動作。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された。捜査線上に浮かんだのは、センターで働く介護士・斯波宗典。だが、彼は介護家族に慕われる献身的な介護士だった。真実を明らかにするため、検事の大友秀美は斯波と対峙する。すると斯波は、自分がしたことは「殺人」ではなく、「救い」だと主張した。その告白に戸惑う大友。彼は何故多くの老人を殺めたのか?そして、彼が言う「救い」の真意とは何なのか?被害者の家族を調査するうちに、社会的なサポートでは賄いきれない、介護家族の厳しい現実を知る大友。そして、彼女は法の正義のもと、斯波の信念と向き合っていく。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 救いと称して42人の要介護者を殺害した介護士を巡る社会派ドラマ。松山ケンイチさん演じる殺人犯の行動原理から大きく浮き彫りとなる介護や安楽死といった連なる社会問題。長澤まさみさん演じる検事の立場や成長からリンクしていく我々の将来。それぞれが抱える事情は純粋に家族のドラマとして感動し、1つの事件を共にして交わる道中や到達点には現代社会を生きる者たちに向けた大きなメッセージを受け取れる。ドラマとしても問題提起としても噛み締める良作。

 俳優陣の演技が素晴らしい。松山ケンイチさんは過去の苦痛から来る犯行動機に説得力があり、静かな圧力を感じた。過去の回想シーンが説明的ではなく、父親役の柄本明さんと二人三脚で魅せたのは素晴らしい。 長澤まさみさんは、これから介護が待ち構えている方々に感情移入できる人物像に仕上がっていた。 柄本明さんは認知症で上手く喋れない役として、ギリギリ文脈が読める喋り方の塩梅が絶妙すぎた。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計17個

 

マッシブ・タレント

(R), TM & (C) 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

公 開 日  :3月24日

ジャンル:コメディ

監 督 :トム・ゴーミカン

キャスト:ニコラス・ケイジペドロ・パスカルシャロン・ホーガン、アイク・バリンホルツ、ニール・パトリック・ハリスティファニー・ハディッシュ、リリー・シーン 他

 

概要

 数多くの作品に出演し、『リービング・ラスベガス』でアカデミー賞主演男優賞を獲得したハリウッドのトップスターであるニコラス・ケイジが本人役として出演するコメディ・エンタメ。トップスターに登り詰めた後、出演作の興行的失敗が続いて不調だったニコラスだったが、本作は各国でスマッシュヒットを記録して見事カムバック。記念すべき作品となった。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 ハリウッドスター、ニック・ケイジは悩んでいた。多額の借金を抱え、心から望んでいた役は得られず、妻とは別れ、娘からは愛想をつかされていた。悲観するニックの元に、スペインの大富豪の誕生日パーティに参加するだけで100万ドルが得られる高額のオファーが舞い込む。借金返済のため渋々受け入れてスペインへ飛んだ後、ニックの熱狂的なファンである大富豪ハビがニックを迎えてくれた。最初は乗り気でなかったニックだが、映画の趣味が合うハビと意気投合し、友情を深めていく。ところがある日、CIAのエージェントがニックに接近してくる。その目的は、ハビの正体は国際的な犯罪組織の首領であり、彼の動向をスパイして欲しいという依頼だった。ハビとの友情をとるか、それとも国家のために働くのか。ニック・ケイジの俳優人生を賭けた一世一代の大仕事の幕が上がる。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 ニコラス・ケイジニコラス・ケイジ役で出演するコメディ・エンタメ。

 私にはよく分からなかった💧プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』しかニコラス・ケイジ主演作を観てない私は無謀だった?本作のレビューを眺めると、ニコラス・ケイジニコラス・ケイジしてる作品らしいが、ニコラス・ケイジを知らない私にとって、ニコラス・ケイジが何をどうすればニコラス・ケイジしてるのか分からず、全く知らないコミュニティの内輪ネタで盛り上がってる空間に放り込まれた気分だった。観ていて、「ニコラス・ケイジニコラス・ケイジ特有のイジリを受けてるんだな〜」という空気を察したぐらい。誰か無知なる私にニコラス・ケイジニコラス・ケイジしてるという定義を教えてくだされ。なんだかニコラス・ケイジという単語ばかりが多くなってしまったな(笑)

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計13個

 

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー

(C)2023「ベイビーわるきゅーれ2」製作委員会

公 開 日  :3月24日

ジャンル:アクション、コメディ

監 督 :阪元裕吾

キャスト:髙石あかり、伊澤彩織、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼、丞威、濱田龍臣

 

概要

 殺し屋コンビの杉本ちさとと深川まひろ描いた『ベイビーわるきゅーれ』の続編。殺しの腕はピカイチ。でも社会になかなか馴染めない。そんな2人が成長したりしなかったりする、楽しさ満載の青春エンターテインメントであり、漫画から飛び出たような個性豊かなキャラクターたちが奏でるオフビートな笑いと本格アクションがカムバック。前作の持ち味であった、ゆる~い日常も健在で前作よりパワーアップしたりしなかったりする。

 監督およびアクション監督は前作に続いて、阪元監督と園村監督。主演2人も髙石あかりさんと伊澤彩織さんが続投し、さらには水石亜飛夢さんと飛永翼さんも続投。新キャラとして、中井友望さんが参戦。さらには、今作の強大な敵キャラとなる殺し屋コンビに丞威さんと浜田龍臣さんが参戦する。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 実の兄弟にして殺し屋コンビである、ゆうりとまことは殺し屋協会のアルバイトの身分で殺しの家業を行っていた。ある時、2人の仲介業を担当している赤井から「協会に所属する腕利きの殺し屋コンビを抹殺すれば、そのポストが空いてアルバイトから正規のクルーへ昇格できる」と噂話を聞く。そして、抹殺対象となる殺し屋コンビは杉本ちさとと深川まひろだった。ゆうりとまことは昇格のため、2人を抹殺に向かう。

 一方、狙われた殺し屋コンビのちさととまひろは教習所の出費やジムの支払い等、お金の問題に悩まされていた。殺し屋業界以外で金を得ようとするが大苦戦。その最中、ゆうりとまことが2人の背後へ忍び寄る。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 ゆるゆるな日常とカッコいいアクションを行き来する殺し屋映画こと『ベイビーわるきゅーれ』が帰ってきた。

 アクションの前作よりレパートリーが増えた。場所が狭すぎても戦い抜くバトル。武器でなく、近くの物品を用いたアクション大喜利。『ジョン・ウィック』シリーズのガン・フーを彷彿させる至近距離ガン・アクション。バラエティ豊かなアクションを楽しめる。

 ゆるゆるな日常パートについて、前作は殺し屋コンビ2人が殺し屋以外の職に就いて社会に馴染むことを試みながら喧嘩したり仲良くなったり敵に狙われたりと起承転結に近いストーリー展開だったが、今作はタランティーノ監督作的な起承転結があるようでない組み合わせであり、ストーリーの本筋に関係ないシームレスな無駄話もタランティーノっぽい。ワンシーン毎に全力で楽しめて全編クライマックスだった。

 前作にも登場した死体処理屋の田坂へのスポットライトが大きくなった。嫌味度がさらに増えてうるさくなり、キャラの個性が大きくなった。感情的な面も見えて好感度が増した。

 ゆるゆるな日常とアクションを繰り返しながらも「やっぱり2人は殺し屋だ…」となる終幕に切なさを覚えた。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計17個

 

映画ネメシス 黄金螺旋の謎

(C)2023映画「ネメシス」製作委員会

公 開 日  :3月31日

ジャンル:ミステリー、サスペンス

監 督 :入江悠

キャスト:広瀬すず櫻井翔勝地涼中村蒼富田望生上田竜也、奥平大兼、加藤諒、橋本環奈、真木よう子佐藤浩市江口洋介

 

概要

 天才的なひらめきで事件の真相を見破っていく探偵助手と、ポンコツだが人望に厚い自称天才探偵が様々な依頼に挑む大ヒット探偵ドラマ『ネメシス』の映画化。ドラマシリーズの総監督を務めた入江悠さんが監督として続投し、映画化にあたって脚本は人気ドラマ『アンフェア』シリーズの原作者である秦建日子さんが務める。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 天才的なひらめきで事件の真相を見破っていく探偵助手アンナ。ポンコツだが人望に厚い自称天才探偵・風真。その2人と社長の栗田で探偵事務所「ネメシス」を経営していたが、突如として依頼が止まってしまい経営難に陥ってしまった。さらに、アンナに至っては、栗田をはじめとする仲間たちが次々に悲惨な死を遂げる悪夢を毎晩見るようになり苦しんでいた。そんなある日、アンナの夢の中で「窓」と名乗る奇妙な男が現れる。「窓」はアンナの夢に何度も登場し、「私たちが握手をしなければ、夢は一つずる現実になっていく」と言葉を残していく。その予言を阻止するためにアンナは奔走するのだが…。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 ドラマ未見でも何とか観れるようになってはいる。だが、登場人物たちの説明はないため、ドラマ未見だと各人物のキャラ付けを目で追って覚える形になる。『名探偵コナン』の映画シリーズのようにオープニングで主人公の能力と主人公の仲間たちの説明をした方が新規の方にも易しく、物語の導入にも馴染みやすかったと思える。シリアスな雰囲気のわりにコミカルな登場人物が多く、新規の方にとっては空気の張り具合が分かりづらい。どの登場人物にも愛着が沸かずに鑑賞を終える可能性が大いにある。

 ストーリー展開が回りくどい。含みに含みを持たせて空回りしてる。多くを語らない雰囲気でストーリーを回したかったようだが、余りにも語らなさ過ぎる。分かりづらさを通り越して単に印象に残らない。そのくせ物語のスケールが小さい。多くを語らずにストーリーを回していくのであれば、クリストファー・ノーラン監督作のように印象に残る会話やインパクトある演出が必須だと思うのだがほぼ無い。一応、悪夢と現実の切り分けをするスイッチとして、広瀬すずさん演じる主人公が自宅のベッドで眠りから目を覚まし、観る者に「今、私たちは主人公が見ていた夢を見させられていたのか〜」という悪夢と現実の整理を与えているが、それを何度も行うことにより、「どうせ、このゴチャゴチャした話も夢なんでしょ。ほら、やっぱり」となるため楽しみは段々と落ちていく。悪夢と現実の混在を表現したいようだけど、セリフと演出が印象に残らなくて物語の把握が面倒なのに、悪夢と現実を整理するスイッチの発動が読めてしまうため、ストーリーは分かりづらいくせにスケールが余りにも小さいという相性の悪さが露呈している。夢という題材から、どうしても今敏さんの『パプリカ』やクリストファー・ノーランの『インセプション』の後発作品として厳しいものがある。

 バーチャル空間の演出が安い。バーチャル空間を利用して風景をバシャバシャを切り替えて、バーチャル空間に居る人間がさも別の場所に移動したかのように錯覚を見せるシーンがあるが、明らかに俳優陣をグリーンバックで撮影して合成する背景を切り替えるだけな感じがたる。それにより、登場人物が風景に馴染んでない。若干、浮いてる。この光景を観ると、なぜ『パプリカ』はアニメで、クリストファー・ノーランはCGに頼らず実物を使って撮影してるのかがよく分かる。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐

星の総数    :計10個

 

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り

(C)2022 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, DUNGEONS & DRAGONS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. (C)2022 HASBRO.

公 開 日  :3月31日

ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー

監 督 :ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー

キャスト:クリス・パインミシェル・ロドリゲスジャスティス・スミス、ソフィア・リリス、レゲ=ジャン・ペイジ、ヒュー・グラント、デイジー・ヘッド 他

 

概要

 テーブルトークRPGとして有名な同名ゲームの実写映画化。王道なファンタジーの世界を下地に、モンスターやダンジョンを踏破していくアクション・アドベンチャーにして、登場人物たちの軽妙な掛け合いを楽しめる作品となっている。

 キャストには『スタートレック』シリーズのクリス・パイン、『バイオハザード』シリーズや『ワイルド・スピード』シリーズのミシェル・ロドリゲス、さらにはヒュー・グラントといった名優たちが参戦。

 日本語吹き替え版は、主要キャスト担当に武内駿輔さん・甲斐田裕子さん・木村昴さん・中村悠一さん・森田順平さん・沢城みゆきさん、チョイ役に神谷浩史さん・森川智之さん・津田健次郎さん・諏訪部順一さんといった豪華声優陣が揃っている。

 

あらすじ

 様々な種族、モンスターが生息する世界・フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガンと彼の相棒である戦士のホルガは、ある目的のために旅に出る。特殊能力を持った魔法使いのサイモンと変身能力を持ったドリック、そして聖騎士のゼンクとパーティを組み、全世界を脅かす巨大な悪の陰謀に対峙することになる。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 同名のテーブルトークRPGを基にして実写化した、ギミック・アクション・ファンタジー

 今作のキモはギミックを踏破していく楽しさ。敵対組織、ファンタジー作品でお馴染みの異形なモンスターやドラゴンが立ちはだかる中、「倒す」だけでなく、仕掛けを解いたり、地の利を活かして魔法やアイデアを用いて「倒さず乗り越える」といった楽しさがある。かといって、人間vs人間のアクションもミシェル・ロドリゲスを中心に面白い。その場にある物を使って敵を倒す大喜利がファンタジー映画では見られるのは新鮮。

 テーブルトークRPGが基だからか、キャラクター同士の掛け合いが面白い。同じ掛け合いの流れを2回以上も使っており、視聴者の笑いのツボを完全に押さえている。また、主人公パーティの各キャラのポジションが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に似ており、それに近い笑いを作っている。あとは、ヒュー・グラントが相変わらず、面白いオジちゃまを演じているのも今作のお喋りが楽しい要因の1つ。日本語吹き替え版だと森田順平さんが担当しており、『ジェントルメン』のフレッチャーの感じで聞くことができる。

 劇中を通して主人公チームが成長していくが、際立った点は少ない。劇的なきっかけはなく、ストーリーを進めていくうちに、克服したり仲良くなってたりする。だが、ドラマが邪魔してダンジョンを踏破するテンポを阻害してないと見ればプラス要因。ドラマが少ないおかげでワクワク出来るシーンを見続けられると考えれば、この塩梅で正解。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計18個

 

エスター ファースト・キル

(C)2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.

公 開 日  :3月31日

ジャンル:ホラー

監 督 :ウィリアム・ブレント・ベル

キャスト:イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・ザザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン 他

 

概要

 クライマックスで明かされた”驚愕の真実”が、あらゆる観客の度肝を抜き、様々なメディアや映画ファンが選定する”どんでん返し映画”ランキングの常連作品となった前作の『エスター』。日本でも大反響を呼び起こした前作から14年、その”エピソード0”となる本作が完成。エスターの過去に、いったい何があったのか?エスターが生み出された理由とは?そこには、常識をはるかに超えた、強烈な仕掛けと驚きが待っていた。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

あらすじ

 2007年、アメリカで暮らすオルブライト家は、4年前に6歳で行方不明となった愛娘エスターの失踪事件に今なお心を痛めていた。そんなある日、エスターが保護されたという思いがけない知らせが夫婦のもとに届く。この奇跡のような出来事を手放しで喜ぶ一家。驚くほど成長したエスターは聡明で才能も豊か。画家の父親に昔以上にべったりだった。また、あの幸せが帰ってくる…。だが、母親は知っていた。この娘が別人であることを…。

 ※公式サイトより引用および抜粋

 

感想

 2009年に公開された『エスター』の前日譚として、いろいろ凄い作品となった。

 まずは、前作に引き続いて主人公エスターを演じたイザベル・ファーマン。前作では10歳の時に9歳の少女を演じたが、なんと本作では公開前のアナウンス通り23歳で9歳の少女を演じる。確かに年齢を重ねたことで顔つきが変わっており、前作と同じような少女的なビジュアルはない。だが、面影ありまくりである。そのため、角度・距離・光量の度合いによっては前作と遜色ない少女の顔つきになる。加えて、エスターの挙動が前作と遜色ない。見た感じは可愛らしく、だが時には内に秘めた本音が牙を剥く仕草はそのままである。そして、本作においては暴れっぷりの面が強化された。年齢を重ねたことにより、前作以上に身体能力を発揮させ、エスターの暴れっぷりを視覚的に楽しむ部分が向上された。イザベルが23歳でエスターを演じることに不安が募っていたが、顔つきの変化を他の部分でカバーし、やはりエスターの適役はイザベルであることを見せつけている。あと、ある意味では年齢を重ねた方がエスターらしさを出せるのも功を奏している。あまり詳しくは語らないけど。

 次にストーリー。導入は前作とほぼ同じ。本作の恐怖の幕開けも「とある家族にエスターが引き取られた」から始まる。そして、引き取り先の夫婦の間には息子がいることも前作と共通。さらには、妻が「この娘、変じゃない?」と疑心を持つ一方、夫は「よしよしエスター」と愛でる設定もこれまた同じ。ストーリーの展開や散りばめられたオマージュすらも前作を彷彿させ、前作を観た者には「前作と全く同じことやるのかよ」と溜め息をつくorノスタルジーに浸らせる。しかし、そう思うのも束の間。本作はストーリーもテイストも味変がかかり、前作を観た者にとっては想像の遥か斜め上の上空へと導く。前作はエスターの真相に迫るミステリー・ホラーだったが、本作は前作の下地を基に視覚的かつストーリー的に様々なスリリングを開幕直後から増産している。ミステリーは鳴りを潜め、テンション・アゲアゲでライドするエンタメとなっている。また、本作の終盤でも前作の終盤におけるジェット・コースター感を継承しており、テイストを変えてもクライマックスの心の掴み方は良い意味で変えてない。

 最後に、今となってはセンシティブな見方が増えつつあるエスターの正体を本作ではカバーしている。あくまでエスター自身が邪悪な心の持ち主であることを開幕直後から主張し、前作のセンシティブな部分に差別や偏見が芽生えないように施している。訴求的に下がりそうだった前作の評価を見事に持ち直している。そういった意味で前作の公開から13年の時を経て本作を公開する意義があった。

 

⭐評価

脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐⭐

演出・映像   :⭐⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計18個