プライの書き置き場

映画とゲームを勝手気ままにレビュー

2021年上半期ベスト映画トップ30 20~11位編

f:id:e-maru:20210815194413j:plain

 

 この記事は以下の記事で書いたランキングの続きであり、第20位から第11位までを発表して感想などをツラツラ書いていく記事になっています。

 旧作と新作を合わせたランキングになっていますので、対象作品は広いです。

e-maru.hatenablog.com

 それでは、第20位から第11位までの発表です。

 

 ※ネタバレは一切いたしません。まだ観てない作品がある方も安心してご覧ください。

 

 

20位 トガニ 幼き瞳の告発

 

f:id:e-maru:20210731112812p:plain

Huluより引用

⭐ジャンル

 ドラマ

 

⭐主要キャスト

 コン・ユ

 チョン・ユミ

 チャン・グァン

 

⭐受賞歴

 ?

 

⭐あらすじ

 主人公は美術教師のカン・イノ(演:コン・ユ)。カンは大学の恩師の紹介により、韓国の田舎町にある聴覚障害者が集まる学校「慈愛学園」へ赴任する。だが、この学校では恐るべき惨劇が巻き起こっていた。なんと、教師たちが生徒へ暴行や性的虐待を行っていたのだ。生徒たちは誰も耳が聞こえず話すことが出来ないため、教師たちの横暴に対抗する手段がなかった。そのため、慈愛学園の闇は表沙汰になることはなかった。

 校内の惨状を知ったカンは生徒たちを救うため、人権センターのソ・ユジン(演:チョン・ユミ)と手を組み、慈愛学園の教師たちを罰するために法廷で闘うことを決意する。果たして、裁判の行方は…。カンや生徒たちの未来は…。

 

⭐感想

 観ててクソ辛い胸糞作品です。あまりの辛さで鑑賞中に涙を流したほどです。視聴の際には大きな覚悟を要します。完全に閲覧注意レベルです。生半可な気持ちで観ると確実に気分を落とします。(※覚悟を持って観ても気分が落ち込む可能性は十分にあります)

 

 幼い生徒たちが虐待を喰らうシーンは生々しく凄惨です。多くの作品だったら、児童虐待のシーンは短くしたり直接的な描写を省いたりすることが多々ありますが、この作品は躊躇なく映し出されます。メタ的な発言になってしまいますが、加害者側と被害者側の役を演じた役者さんたちによく出来たなあと感じてしまいます。

 

 虐待シーン以外も観てて辛いです。作品の雰囲気も重々しい暗さがのしかかっているし、基本的にストーリー展開は主人公や虐待を受けた生徒たちに好転することはありません。好転してもすぐに暗転します。闇の中に光が差し込んだと思ったら、また闇が多い被ります。

 法廷で生徒たちが自ら受けた虐待を告白するシーンもかなりの生々しさです。自分が犯されたことを他人へ伝えることは勇気を要するし、恥ずかしさも生まれるし、多くの感情が混在することを改めて実感します。

 

 先ほどから”観てて辛い”を連呼してますが、”辛い”だけが本作の特徴ではありません。この作品は実際に韓国で起きた虐待事件をモデルにしており、世間へ虐待や人間の恐ろしさを届けた作品です。現に、この作品が公開されてから韓国の虐待に関する法律が改正されたレベルです。それぐらい影響力のある鮮烈なメッセージがこの作品には宿しています。

 

19位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

 

f:id:e-maru:20210731120705p:plain

ディズニー+より引用

⭐ジャンル

 アメリカン・コミック

 

⭐主要キャスト

 クリス・プラット

 ゾーイ・サルダナ

 デイヴ・バウティスタ

 ヴィン・ディーゼル

 ブラッドリー・クーパー

 

⭐受賞歴

 ?

 

⭐あらすじ

 超絶カンタンにまとめると、はみ出し者たちが銀河を救う。(1作目および2作目)

 

⭐感想

 1作目と2作目のリミックスを合わせて、この順位にしました。両作品とも作風やコンセプトが同じであるため、ひとまとめにして書きます。

 

 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の特徴は、”個性の繋ぎ合わせ”です。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はMCU作品の1つです。MCU作品は基本的に1人ないし2人ぐらいのヒーローを主軸に置いた構造が一般的です。ですが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は5人以上のヒーローが主役となります。少し気が抜けたお調子者の主人公、真面目でクールな女戦士、ギャグをパナしてくる巨漢キャラ、マーベル界のマスコット、ボケとツッコミの両担当をこなす”笑い飯”的なCGアライグマといった個性派揃いが登場します。他のMCU作品と比べて、かなりコミカルな作品です。特に、キャラクター同士の掛け合いの楽しさは他の作品よりも笑いに寄ってます。そして、そんな奴らが銀河を救うというギャップもこれまた面白い。全員が個性を剥き出しにして、息が合ってるんだか合ってないんだか分からん謎のチームワークで闘う姿もギャップが現れて面白いです。

 

 また、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のキャラクターたちは『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』に登場するまでは他のMCU作品との繋がりは皆無です。なので、MCU作品を一度も観たことがない方でも楽しめる作品です。つまり、誰もが観て楽しめる作品です。

 

18位 エスター

 

f:id:e-maru:20210805202255p:plain

映画.comより引用

⭐ジャンル

 ホラー

 

⭐主要キャスト

 イザベル・ファーマン

 ヴェラ・ファーミガ

 

⭐受賞歴

 ?

 

⭐あらすじ

 主人公は元教師のケイト(演:ベラ・ファーミガ)。ある日、夫が養子を迎え入れようと提案し、夫婦そろって孤児院へ向かうことになった。そこで出会ったエスター(演:イザベル・ファーマン)と名乗る9歳の少女を気に入り、ケイトと夫は養子として引き取った。だが、これが悪夢の始まりだった。

 エスターは家族に馴染んでいく一方で、家族や周囲の人々の命を危険に晒す凶行を繰り返すようになる。ケイトはエスターに恐怖感を抱き始めたが、時すでに遅し。ケイトたちの一家に惨劇が訪れるのであった…。

 

⭐感想

 ホラー映画と銘打たれる作品ですが、観た感じではミステリーに近い作品です。

 

 まず、ストーリー展開が素晴らしいです。ジェットコースター的な流れで進みます。序盤と中盤ですごく高い所まで到達して一気に最下層まで落下していく感じです。序盤で、この作品の象徴と言えるキャラクターである少女エスターが狂気の片鱗を見せます。中盤でエスターの狂気が加速的にエスカレートしていきます。そして、終盤の1番ピークに達した時点で衝撃の事実と怒涛の展開を見せてくれる作品です。

 展開だけでなく、作り込みも素晴らしいです。ネタバレ防止のため詳細は省きますが、この作品は序盤と中盤で多くの違和感を観る者に与えます。そして、終盤に到達した時点でその違和感が一気に解消されます。大きなどんでん返しが待ち受けています。

 

 あと、この作品で語り継がれるポイントは狂気の少女・エスターを演じたイザベル・ファーマンの演技力です。とにかく、コワイ…。当時、10歳ぐらいでエスターを演じていたらしいですが、とても10歳ぐらいに見えませんでした(笑)どうやったら、たった10年ほどの人生で、平気で他人の命を危険に晒す狂気に満ちたキャラクターを演じられるのか私には分かりません(笑)

 また、コワさと狂気以外にも、イザベル・ファーマンの演技力のスゴさが作中の終盤に発揮されます。ネタバレになってしまうので、イザベル・ファーマンのスゴさを堪能したい方は早速この作品を観ましょう。個人的には、予告編すら視聴しないことをオススメします。

 

17位 インファナル・アフェア

 

f:id:e-maru:20210805214117p:plain

映画.comより引用

⭐ジャンル

 クライム・サスペンス

 

⭐主要キャスト

 トニー・レオン

 アンディ・ラウ

 アンソニー・ウォン

 エリック・ツァン

 

⭐受賞歴

 第22回香港電影金像奨 最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(トニー・レオン)、最優秀助演男優賞アンソニー・ウォン

 

⭐あらすじ

 マフィアに潜入した警察官ヤン(演:トニー・レオン)。警察に潜入したマフィアの手先ラウ(演:アンディ・ラウ)。警察とマフィアの双方にスパイが放たれた後、やがて、両組織は自身の組織にスパイが紛れ込んでいる事実を知ってしまう。裏切り者をあぶり出すため、両組織にてスパイ探しが決行される。次第に追い詰められていくヤンとラウの運命は…。

 

⭐感想

 『インファナル・アフェア』は3部作から構成された作品であり、3作品まとめてこの順位にしました。

 ここでは1作目についての感想を話していきます。2作目と3作目の感想は、1作目のネタバレ込みになってしまうため語りません。

 

 この作品は、映画好きなら誰もが知る香港ノワールの傑作であり、全世界を震撼させた名作です。(確か、そのはず。)観てつまらないわけがない。そもそも、面白いからこそ、ハリウッドでは『ディパーテッド』の名でリメイクされ、日本では『ダブル・フェイス』の名でドラマ化されました。

 

 緊迫感のあるストーリー展開トニー・レオンアンディ・ラウが演じる2人の主人公の心情が終始バランスよく描かれた作品です。

 ストーリーの展開力は最高です。警察とマフィアがあの手この手を使ってスパイを探っていく展開は緊張の糸が途切れません。それと同時に追い込まれていく主人公2人を観る者は固唾を呑んで見守ってしまいます。「ヤベェ、俺の正体バレた…」みたいな展開ばかりが続きますし、そもそも主人公たちは身分を偽って周囲に嘘をつきまくってるツライ状態なのでスゴ~く同情してしまいます。特に、トニー・レオン演じる主人公はマフィアに潜入してるから「正体バレる=殺される」が付きまとうため、観てるこちらの胃が締め付けられます。「潜入」という使命を背負った主人公たちの待ち受ける未来が気になって最後まで見届けたくなる傑作です。

 

 ちなみに、1作目で警察とマフィアのスパイ探し対決は決着がつきます。それで、2作目は主人公たちの過去編であり、3作目はスパイ探し対決が終わった後の世界と過去編が描かれます。個人的に1番面白いのは1作目です。そもそも、2作目と3作目は1作目の補完的な内容であり、メインは1作目です。なので、1作目だけ観ても十分に楽しめます。また、香港映画に馴染みがなく抵抗感がある方は日本版の『ダブル・フェイス』を強くオススメします。個人的に日本版はオリジナルの質を落とすことなくリメイクしてると思うので、『ダブル・フェイス』を観ても名作の匂いは感じられるはずです。

 

16位 1917 命をかけた伝令

 

f:id:e-maru:20210808203057p:plain

映画.comより引用

⭐ジャンル

 戦争

 

⭐主要キャスト

 ジョージ・マッケイ

 ディーン=チャールズ・チャップマン

 

⭐受賞歴

 第92回アカデミー賞 撮影賞、視聴効果賞、録音賞

 

⭐あらすじ

 舞台は1917年の第一次世界大戦下のヨーロッパ。イギリス軍の最前線に位置する部隊は後退していくドイツ軍に追撃を仕掛けようとを準備を整えていた。だが、戦線の後方に位置するイギリス軍のエリンモア将軍は、ドイツ軍の後退はイギリス軍を誘引して壊滅させることが目的だと察知する。エリンモア将軍は若き2人の兵士ウィル(演:ジョージ・マッケイ)とブレイク(演:ディーン=チャールズ・チャップマン)に、最前線へ向かい、追撃中止の伝令を届けるよう任務を命じる。ウィルとブレイクは最前線のイギリス軍を救うため、出発する。2人の兵士による、命をかけた伝令の旅路が始まる。

 

⭐感想

 圧倒的、アイディア賞。「こんな戦争映画観たことない!」に尽きます。

 カット数がメッチャ少ないです。多分、5カットぐらいしかないはず。いや~、観てビックリでしたね。だって、最初の「主人公が司令部に呼ばれる→伝令を受け取る→戦地はレッツゴー→チェックポイント到達」の下りをワンカットで撮りっぱなしなんですもん。基本的にカメラは主人公を捉えており、画面の切り替わりはほぼ皆無です。ずーーーっとノンストップで進行していきます。そのため、主人公と一緒に戦地を駆け巡ることを体験できる今までにはない戦争映画となっています。大事なことだから、もう1回言うと、圧倒的なアイディア賞です。この作品に関しては感想うんぬんより、「まずは観てくれ!」の一言に尽きます。一風変わった戦争映画を味わいたい方にオススメです。

 

15位 きっと、うまくいく

 

f:id:e-maru:20210809090328p:plain

Amazon Prime Videoより引用

⭐ジャンル

 ドラマ

 

⭐主要キャスト

 アーミル・カーン

 R・マドハヴァン

 シャルマン・ジョーシー

 

⭐受賞歴

 2010年 国際インド映画アカデミー賞 作品賞

 

⭐あらすじ

 学生時代の仲良しトリオであるランチョー(演:アーミル・カーン)・ファルハーン(演:R・マドハヴァン)・ラージュー(演:シャルマン・ジョーシー)は、同級生のチャトル(演:オミ・ヴァイディア)の誘いにより、数年ぶりに再会することになった。だが、ランチョーだけが姿を見せずに消息不明となっていた。3人はランチョーの行方を追う中で、ランチョーの秘密を知ることになる。

 

⭐感想

 観ると元気が湧き出る映画の代表格。広義の意味で誰にでもオススメできる名作。

 

 作品の構造は大きく分けて2つです。行方不明となった主人公を捜す現代パートと仲良しトリオが苦楽を供にした学生時代の過去パートが交互に描かれます。

 現代パートはストーリー展開に注力されています。ランチョーの足跡を辿る過程の中で、ランチョーの秘密が発掘されるミステリー要素や侵入禁止のエリアに飛び込んでハラハラさせる要素があり、エンタメとして楽しめる内容になっています。

 過去パートはドラマが中心です。主人公のランチョーが皆を照らす太陽となって、周囲に多大な影響を与えていきます。ランチョーの行動と言動を基に他の登場人物たちが自己を確立していくの主体となっています。ある意味、ランチョーが自己啓発セミナーの先生みたいな感じになっています。かといって、説教的な雰囲気はありません。ストーリー展開に自然に乗っかって、人生の本質が伝わってきます。この作品を観終わった後には「アールイズウェル」という元気が出る呪文を会得します。

 

 純粋なエンタメとしても面白いし、人生に役立つドラマとして観ても楽しめ、万人ウケする作品です。普段、映画を観ない方でもオススメ出来る王道作品だと思っています。

 

14位 哀愁しんでれら

 

f:id:e-maru:20210809170307p:plain

『哀愁しんでれら』公式サイトより引用

⭐ジャンル

 サスペンス

 

⭐主要キャスト

 土屋太鳳

 田中圭

 COCO

 

⭐受賞歴

 ?

 

⭐あらすじ

 主人公は、児童相談所で働く福浦小春(演:土屋太鳳)。小春は幼い頃から、とあるトラウマを抱えていた。それは、母親から捨てられたことだった。その反動もあり、「母親のような母親に自分はならない」と誓い、将来は幸せな家庭を築くと夢見ていた。
 ある日、小春は一夜にして災難の連続に見舞われ、多くを失ってしまい、不幸に突き落とされる。そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは、街で偶然出会った開業医の泉澤大吾(演:田中圭)だった。その後、小春と大吾は互いに惹かれ合って結婚。小春は奥さんになると同時に、大吾の連れ子であるヒカリ(演:COCO)の母親にもなった。
 良き夫。かわいい娘。小春は、不幸の淵から幸せの絶頂へと一気に昇り詰めた。小春にとって、大吾は白馬の王子様だったのだ。まさに、シンデレラ・ストーリー。こうして、小春は家族3人で幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし……に暮らしたのでしょうか……。

 

⭐感想

 シンデレラ・ストーリーの後先を描いた胸糞映画です。「シンデレラは結婚した時に物語が終わるけど、その後は幸せになったの?」というメタな作品です。”裏おとぎ話”のキャッチコピーが相応しい作品となっています。

 

 作品の内容をすご~く簡単に言うと、「いつまでも幸せが続くわけねえだろ!」と現実味を帯びた中に最悪な展開へ転げ落ちていくヤバめな内容になっています。徐々にエスカレートしていく胸糞展開に土屋太鳳さん演じる主人公が狂っていきます。その様は土屋太鳳さんが脚本を読んでオファーを3度も断ったのも納得(笑)挙句の果てには、ポスターにも記載の通りで社会を震撼させる凶悪事件が巻き起こってしまうため胸糞映画に認定せざるを得ませんでした。道徳的にヤバイです。最後まで胸糞タップリの作品なので、ドスの利いたスパイスを味わいたい方にはハマるかと思います。

 

13位 嘆きのピエタ

 

f:id:e-maru:20210809182602p:plain

『嘆きのピエタ』公式サイトより引用

⭐ジャンル

 ドラマ

 

⭐主要キャスト

 イ・ジョンジン

 チョ・ミンス

 

⭐受賞歴

 第62回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞

 

⭐あらすじ

 両親を知らずに天涯孤独で30年間生きてきたイ・ガンド(演:イ・ジョンジン)は借金取り立て屋として働いていた。ガンドの取り立ては容赦なく、返済できない債権者には暴力でケガを負わせ、下りた保険金で支払いをさせていた。
 そんな毎日を送っていたガンドだったが、ある日、チャン・ミソン(演:チョ・ミンス)と名乗る見知らぬ女性がガンドの目の前に現れる。さらに、ミソンは「私は過去にあなたを捨てた母親」だと告白し、ガンドとミソンは親子として共同生活を送るようになる。やがて、孤独で愛を知らずに過ごしてきたガンドの心情に変化が出始める。だが、その矢先に一大事件が起こり、ガンドは驚愕する…。

 

⭐感想

 愛・怒り・憎しみといった多くの感情が入り乱れる胸糞ドラマです。孤児である主人公が母親と出会い、「親子の絆を取り戻したら、この映画は終わるのか?」と思いきやトンデモ展開が待ち受けています。母親と出会った後は常に違和感がつきまとう演出やストーリー展開が度重なり、幸せな親子増が描かれながらも雲行きの怪しい雰囲気を醸し出します。そして、何とも言えない胸糞な終わりを迎えます。

 この作品を観た後はモヤモヤした感覚に陥ります。「憎しみの矛先は誰に向けるのが正解なのか?」や「自分が愛情を感じてよい居場所はどこなのか?」と複雑な思いがよぎります。しかも胸糞作品ではありますが、大きい余韻に浸りたい方にはハマるのかと思います。

 

12位 パルプ・フィクション

 

f:id:e-maru:20210815110604p:plain

映画.comより引用

⭐ジャンル

 分類不能

 

⭐主要キャスト

 ジョン・トラボルタ

 サミュエル・L・ジャクソン

 ユア・サーマン

 ブルース・ウィルス

 

⭐受賞歴

 第47回カンヌ国際映画祭パルムドール

 第67回アカデミー賞 脚本賞受賞、主演男優賞・助演男優賞助演女優賞ノミネート

 

⭐あらすじ

 主人公は2人。
 1人目は、ギャングの殺し屋ヴィンセント(演:ジョン・トラボルタ)。ヴィンセントは相棒のジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)と共に殺しの仕事をこなす日々。その上、ギャングのボスの妻であるミア(演:ユア・サーマン)の世話まで頼まれる。だが、行く先々で思わぬ事態に遭遇する。
 もう1人の主人公は、落ち目のプロボクサーのブッチ(ブルース・ウィルス)。ブッチは、ギャングのボスから大金と引き換えに八百長試合を持ち掛けられる。だが、ブッチはギャングのボスを裏切って試合に勝利。ギャングから追われる身となり逃亡する。
 2人の主人公を起点に物語は交錯し、1つの世界へ集結していく。

 

⭐感想

 長~い会話劇と容赦なきバイオレンス描写が繰り広げられるタランティーノ・ワールドを世に知らしめた超大作。世界で最も有名な映画祭であるカンヌ国際映画祭にてパルムドールを獲得しています。
 キャラクターたちによる長~い会話劇。その合間に突如として現れる目を見張るようなアクションシーン。(バイオレンス描写もアリ。)加えて、ストーリーの時系列をバラバラに展開させるクリストファー・ノーラン手法が施されています。(一応、言っておくと、クリストファー・ノーランが後発です。)
 タランティーノ監督作品の最大の特徴は面白おかしい会話劇です。その会話劇に関して、この作品はトップレベルの面白さがあります。約2時間半に渡って、キャラクターたちがしゃべりにしゃべりを重ねますが、全く聞き飽きることがありません。いつまでも聞いていたくなります。なぜなら、会話の中身がユーモラスに富んでおり、さらには流れるように聞きやすいため、耳が心地よくなってしまうからです。よく心地よい音色を耳にした時に”耳のごちそう”といった表現をしますが、この作品の場合は”耳の流動食”と表現したほうが正確かと思われます。それぐらい次から次へと面白いおしゃべりが流れてきます。
 また、その会話を披露するキャラクターたちが一癖も二癖もある魅力的な奴等ばかりです。会話に限らず、アクションシーンはおろか、少し動いただけでも楽しませてくれます。心を惹きつけるキャラクターばかりなので、映画が観終わっても「こいつらの今後が見て~」と思わせてくれます。

 

11位 悪の法則

 

f:id:e-maru:20210815112328p:plain

Yahoo!映画より引用

⭐ジャンル

 クライム・サスペンス

 

⭐主要キャスト

 マイケル・ファスベンダー

 ペネロペ・クルス

 キャメロン・ディアス

 ハビエル・パルデム

 ブラッド・ピット

 

⭐受賞歴

 なし

 

⭐あらすじ

 主人公は弁護士業を営む”カウンセラー”と呼ばれる若き男(演:マイケル・ファスベンダー)。恋人であるローラ(演:ペネロペ・クルス)との関係も良好で、順風満帆な人生を送っていた。しかし、実業家である友人のライナー(演:ハビエル・バルデム)や麻薬ブローカーのウィリアムズ(演:ブラッド・ピット)と共に麻薬ビジネスに手を染めたのが運の尽き。裏社会の闇に呑まれ、カウンセラーは窮地に直面。自らの命を脅かされることになってしまった。やがて、裏社会の闇は恋人のローラや友人のライナーとその恋人であるマルキナ(演:キャメロン・ディアス)、そしてウィリアムズにまで広がっていく…。

 

⭐感想

 第80回アカデミー賞で作品賞を獲得した『ノーカントリー』の原作者である小説家のコーマック・マッカーシーによる書き下ろし脚本で話題となったクライム・サスペンス。登場人物のセリフの随所に小説家らしい哲学的で文学的な要素が散りばめられています。また、無秩序にしてアッサリと人命が抹殺されていく不条理で現実的な世界観を持ち合わせており、作風は『ノーカントリー』に近いです。さらには、マイケル・ファスベンダーをはじめとした映画好きなら誰もが知っているスターキャストたちが結集しており、公開前の期待値は高かったと思われます。

 そう聞くと、この作品もアカデミー賞を獲得した『ノーカントリー』同様に絶賛されるのかと思いきや、批評家からは賛否両論の嵐でした。私は「賛」の立場です。それゆえ、この記事で第11位に置いてます。「賛」と言っておきながらも、「否」の立場にいる方の言い分は理解できるものがあります。客観的に俯瞰すると、この作品が賛否両論に分かれた原因は見えてきます。それらを踏まえて感想を述べたいと思います。

 

 劇中は常に「いつ、誰が窮地に陥るか?」といった緊張感がつきまといます。アッサリと事態が悪い方向へと変わるので、主人公が足を踏み入れた裏社会が一瞬の隙や油断さえ許されない不条理な世界だというのが十分伝わってきます。『ノーカントリー』のアッサリと人が死んだり、アッサリと事態が急に悪い方向へ転じる展開と似ています。しかし、全体的に物語の内容が分かりにくい見せ方になっており、状況把握に苦労する構造になっています。

 この作品は、あちらこちらで不測の事態が起こり、その事態が他の場所にも悪影響を及ぼすといった具合でストーリーが進行していきます。まず、あらゆる場所で次々かつ淡々に事態が発生するため、頭の整理が常に求められてしまいます。しかも、前述に語った通り、登場人物のセリフが文学的であるため、抽象的な表現を用いて発言します。そのため、各シーンごとに「何の話をして、現在もしくはこれから何をするのか?」といった登場人物の意図が分かりにくいため、ストーリーの把握に一苦労を要します。

 逆に、直接的な表現を避けた場面やセリフから本質を読み取る楽しみ方が出来る方にはハマるのかと思います。私もその部類なので最後まで楽しむことが出来ました。個人的には登場人物の抽象的なセリフや場面の説明不足は気になることはありませんでした。確かに、1回観ただけでは意味不明な部分も多々ありましたが、この作品の世界観にはかなりマッチしていました。そもそも、この作品は登場人物の文学的なセリフと裏社会の構造だけが現実世界と乖離してるだけで、残りの大部分を占める要素は現実世界と同等です。この作品から感じ取れる「この世は不条理に満ちている」という世界観は現実世界と何ら変わりありません。登場人物のセリフを借りながら現世の全体像を語っているに過ぎない作品なのかなあと思います。

 

 あと、この作品を観る上で注意するのは登場人物です。マイケル・ファスベンダーをはじめとしたスターキャストを揃えていますが、登場人物の個性が薄いまたは理解不能なキャラクターしかいません。(特に理解不能なキャラはキャメロン・ディアス演じるキャラクターかもです。)このことに関して、「キャストの無駄遣い」なんて否定的な意見も目立ちます。

 ただ、個人的には登場人物の個性のなさや理解不能なキャラクター性が好きでした。前述にもある通り、現実世界と同等な不条理さが浮き彫りになる作品なので、登場人物の個性が強すぎたら逆に悪目立ちしていたと思います。ですので、逆に、必要最小限に抑えた登場人物のキャラクター性が作品のバランスを保っていました。個性が薄いと、視聴者が登場人物を覚えるのに苦労しましたが、そこは顔が知れたスターキャストたちでカバーしています。ですので、「これ誰だっけ?」みたいなことはありません。登場人物の薄い個性および理解不能なキャラクター性とキャストのスター性が絶妙なバランスを生んでおり、作品の世界観を見事に作り上げています。加えて、現実世界と同等の不条理さを表現しています。

 ついでに言っておくと、登場人物が何者なのかを説明する描写やセリフがメッチャ少ないです。事前に登場人物の職業や立ち位置だけでも覚えておくだけで見やすさが変わります。

 

 改めて、賛否両論ある作品ですが、個人的にはかなり好きな部類に入ります。2日連続で観続けるほど私は好きな作品です。独特な登場人物のセリフ回しや現実味あふれる不条理な世界観が好きな方は必ずのめり込めます。

 あと、言い忘れてましたが、この作品は胸糞映画になりますので閲覧には十分注意してください(笑)