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ミステリー×αな映画 『罪の声』ネタバレなし紹介

はじめに

 

        良い意味で予想を裏切った映画を観て来ました。

 

    ↓これです↓

 

 観に行ったの1か月ほど前で今更な感じですが、急にも‘‘奮い立った‘‘のでネタバレなしで気ままに紹介していこうと思います。

 

 

そもそも『罪の声』とは

assorted lighted billboards at night

 映画『罪の声』は、日本で実際に発生した昭和時代の未解決事件『グリコ森永事件』をモチーフにした作品です。正確にいえば、『グリコ森永事件』の犯行や当時の社会情勢をそのままに『ギンガ萬堂事件』と事件名を変え、さらには登場人物も実在しないオリジナルキャラでストーリーが展開するミステリー映画です。事件録やドキュメンタリーを描いた作品ではなく、史実に基づいたフィクションになっています。

 

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 ちなみに、原作は塩田武士さんが執筆した同名小説です。2016年度 週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位&2017年 本屋大賞第3位を受賞している大作です。

 私は映画が公開される約1年前に原作本を手に取って読了していました。500ページを超える長編でしたが、埋もれた事件の真相が徐々に掘り起こされていく展開にページをめくる手が止まらずにあっという間に読んでしまいました。(映画も同様です。)小説が面白かった分、映画に対する期待値も高かったです。

 

あらすじ

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 星野源さん演じる曽根俊也は、京都でテーラーを営んでいました。自宅で父の遺品から古いカセットテープと黒革のノートを見つけます。カセットテープを再生すると、流れてきたのは幼き頃の自分の声でした。

 

 きょうとへむかって、いちごうせんをにきろ、ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら

 

 意味も分からないまま文章を棒読みする幼き過去の自分。

 黒革のノートをめくってみると、中身は英文で埋め尽くされていました。が、よく2つの単語だけは日本語で表記されています。その単語は「ギンガ」と「萬堂」の2つでした。曽根は、自分の幼少期に起きた昭和の未解決事件『ギンガ萬堂事件』を思い出しました。パソコンで調べてみると、『ギンガ萬堂事件』で犯人は幼い子供の声を録音して犯行に及んだと載ってあり、さらには犯行時に使用した録音テープがアップロードされていました。曽根は意を決して再生ボタンをクリックしました。

 

 きょうとへむかって、いちごうせんをにきろ、ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら

 

 なんと、カセットテープに録音されていた幼き自分の声でした。

 自分が『ギンガ萬堂事件』に関わっていた事実を知った曽根は眠っている真相を探るため、事件関係者を洗っていくのでした。

 

 一方、小栗旬さん演じる新聞社記者の阿久津英士が勤める大阪の新聞社では『ギンガ萬堂事件』の特集を組むことが決定されました。取材のために阿久津も曽根と同様に事件関係者のもとへ向かうのでした。

 

 曽根と阿久津。事件関係者と新聞記者。二人の人間が追いかける未解決事件の先に一体どんな真実が待ち受けているのか。

 

で、どんな映画なの?

 ここでは、映画の見所を原作と並べて3点語っていきます。特に重要なのは、3点目です。冒頭で「期待を良い意味で裏切られた・・・」という意味はこの部分で話します。

 

①映画版『罪の声』は役者さんパワーである

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 原作小説もですが、この映画は登場人物がかなり多いです。(正確にいえば、映画は小説より少ない。)私は小説を読んだ際、登場人物が多くて記憶するのに苦労したことを覚えています。小説を読まれた方だと、「あれ?これ誰だっけ?」となった方もけっこういたのではないでしょうか?

 しかし!

 映画では、その点を解消しています。

 まず、役者さんが演じるから顔で覚えられるというのもあります。

 ですが!

 注目してほしいのは役者さんの顔よりも演技ですね。

 実は、小説だと登場人物にあまりキャラクター像はありません。特に、事件の犯行グループや犯行グループに所縁がある人物などといった過去のキャラクターたちは、「名前」と「事件当時に何をしていたか」ぐらいしか書かれず、キャラクターというより記号に近い存在になっています。

 しかし!

 映画では、そんな記号のような人物たちが役者さんの演技により、命を吹き込まれています。それにより、小説にはなかったキャラクター性が各登場人物に加わっています。

 つまり、全ての登場人物が「役者さんの顔付き」&「役者さんたちの演技力」で観る人々に強い印象を与えてくれます。それにより、視聴者は登場人物を逐一整理し直す必要がありませんので、負荷をかけずに物語を最後まで楽しむことが出来ます。

 

 やっぱ、役者さんってスゴイ。

 

 

②映画版『罪の声』もミステリー作品である

closed brown wooden doro

 「次は一体、何が起きるんだ・・・」と続きを気にさせるストーリー展開は、小説と同様に映画でも健在です。未解決事件の全容が着々と明らかになっていく展開は観る者の目を完全に引きつけます。

 

 小説もですが、この映画の「続きを気にさせる」という点がスゴイのです。

 

 実は、この映画の基本的な流れは・・・

 

・主人公2人のどちらかが事件関係者を訪れて、事件の話を聞く

         ↓

・新たな事件関係者が現れる

 

 

 

 この繰り返しなのです。これだけ見ると、「絵面が地味そう・・・」と抱くと思います。

 しかし!

 そんな事件関係者の話を聞いてるだけでもミステリー作品として十分な見応えがあります。

 

 なぜかというと、ストーリー全体が点と点を結んで線になる構成になっているからです。この映画の「点」となる部分は事件関係者の話です。事件関係者は次から次へと現れます。この映画、新たな事件関係者が現れては今までの事件関係者の謎が解けたり、逆に謎が新たな謎を生む展開になっています。消化と未消化の部分が同時並行していく感じです。それゆえ、いくら絵面が地味であっても、この映画に引き込まれてしまいます。

 

 上映時間が2時間22分を超える長作ですが、視聴した際の体感時間は1時間も感じないくらいです。観始めたら、あっという間です。

 

③映画版『罪の声』は人間ドラマでもあった

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 「良い意味で期待を裏切られた」の部分になります。

 原作の小説とは大きく違う部分です。小説では、事件当時の状況を事件関係者がセリフだけで説明していました。②の部分でも話した通り、この『罪の声』という作品は2人の主人公が事件関係者を巡っていくだけであり、時間軸は現在のみとなっており、過去に時間軸を遡って回想する場面は一切ありません。

 ですが!

 映画は違います。映画は、事件関係者の話の随所に回想シーンを挿入しています。つまり、犯行グループや犯行グループに所縁があった登場人物の声を聞けるし、動きを見ることができます。それにより、事件当時の登場人物たちが小説よりも綿密に描かれ、小説では皆無だったキャラクター像が出てきます。

 

 ①の部分でも触れましたが、小説では「名前」と「事件当時にどんな行動を起こしたか」ぐらいしか書かれなかった登場人物たちが多数存在します。ですが、その登場人物にもセリフ&アクション付きと息を吹き込まれ、魅力あるキャラクターに変貌したことにより、事件に関わった人間1人1人に人生があったことがにじみ出ています。それにより、登場人物に感情移入がしやすくなっており、作品全体が小説よりもドラマティックな仕上がりになっています。

 

 小説は本格的なミステリーだったのに、人間ドラマの要素を大きく加わってくるとは驚きでした。犯行グループ関係者が克明に描かれ、多くの人間の人生が流れてくる映画だとは思っていませんでした。原作小説のミステリーに浸った私にとっては、横から思いっきり殴られたようなデカい不意打ちです。

 

 

まとめ

 『罪の声』の見所を3点語りました。その3点を踏まえて総合的にこの作品を現すと・・・

 

役者さんパワーで生まれた、「ミステリー」×「人間ドラマ」の二重奏

 

 これに尽きます。

 

 原作小説であったミステリー要素を損なうことなく再現し、さらには人間ドラマまで加わるという、まさに「重厚」という言葉が相応しい映画です。

 ミステリー好きな方でも楽しめ、ドラマが好きな方でも大いに楽しめます。両方好きな方にとっては、1本で2ジャンルを味わえる贅沢な映画です。

 まだ映画館で公開されているようなので、これを読んだ方はぜひ観てください👀